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ヤマビルと吸血被害

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カ・マダニ・ヤマビルなどの吸血方法にはどんな違いがあるのでしょうか

吸血方法の違いトップ
蚊は高速、ヤマビルは長時間、マダニはさらにしつこくくっついて離れません。刺したり切り裂いたり方法も色々です。


 

昆虫類の口器は様々です。

昆虫の口器
バッタでは1対の脚(あし)から変化した大あご(顎あるいは腮と書きます)を使ってかじって食べる咀嚼(そしゃく)型ですが、イエバエではなめて食べる吸い取り型です。餌をなめて食べる時に吻(ふん)を伸ばして吻の先にある唇弁(しんべん)でなめながら食べます。


 

カの吸血方法

蚊の口器
皮膚に深く刺して血管から血液を急速吸引する
吸血昆虫の代表格であるカの口器は口吻(こうふん)と呼ばれ、刺して吸うタイプです。大あご・小あごなどは極端に細長くなって吸血に適した構造に進化しています。正確には上唇(じょうしん)・大あご(2本)・下咽頭(かいんとう)・小あご(2本)の6本と下唇(かしん)からなっています。 この6本は鞘状になった下唇の中に収納されていますが、吸血時にはこの6本が1つの口針となって血管内に挿入されます。

そして、小あごの先端は細かくとがってギザギザしており(♂にはない)、吸血する時には細かく振動させながら皮膚の中に切り込んでいきます。 蚊に刺されても痛みを感じないのは、このギザギザ振動が痛みを感じさせなくしているのではないかと言われています。また、下咽頭の先端には唾液腺が開いており、アピラーゼを含んだ唾液を注入して、血液の凝固を防ぎ吸血しやすくしています。更には、唾液腺には毛細血管の拡張活性物質なども出して吸血される動物側の防御反応を抑えています。

マラリアの流行地域では、カが吸血して感染者の赤血球を取り込むと、マラリア原虫は、カの中腸を経由して唾液腺に集まって増殖し、スポロゾイトという感染幼虫になり、ヒトへの感染が可能になります。なお、カは吸血の際に、ヒトに気づかれないように血圧の低い末梢血管からすばやく吸血する必要があります。そこで、カは2つのポンプを使って、速いスピードで血液を吸引して、逃げ去ることができるのです。

マラリアについて


 

マダニの吸血方法

マダニの口器
皮膚を切り裂いて染み出てきた血液を長い時間かけて吸引する
節足動物のマダニではカのように針を刺して血液を吸うのではなく、皮膚を切って、なめて吸います。鋏角(きょうかく)で皮膚を切り裂いた後、逆行性の歯状突起の構造をした口下片(こうかへん)を皮膚の中にさしこみ、さらにその周囲をセメント物質で固めて、2~5日の長い時間をかけて吸血します。

そのためにマダニの吸血に気がついて引っ張ると口下片を皮膚に残したまま体がちぎれてしまうので注意が必要です。

なお、マダニは吸血した血液から栄養成分だけを取り出して自分の体の中に濃縮させます。そして、吸血して数日後に、余分な水分の他に、血液凝固阻害物質・毛細血管拡張物質などを含んだ唾液を吸血側のヒト体内に戻します。

この時にマダニを媒介としているウイルス・細菌・原虫・リケッチアなどの病原体がヒト体内に送り込まれて感染が成立することになるとされていますが、この点がヤマビルの吸血プロセスと大きく異なっています


 

ヤマビルの吸血方法

ヤマビルの口器
皮膚を切り裂いて染み出てきた血液を飲み込む
一方、ヤマビルでは、マダニと同じく、皮膚を切って、なめて吸うように吸血します。ヤマビルの口器は前端にある吸盤の中にあり、逆Y字型をした三唇状の顎(あご)となっています。一つの顎には細かい歯(顎歯と呼ばれています)が70-80個2列に並んでいます。吸血する時にはこの3つの顎を使って、鎌で切るように上下に動かしながら細かい歯で吸血動物の皮膚を切り裂いて、あふれ出てくる血液を1時間位、体全体で前後に蠕動運動を繰り返しながら吸血します。

体表をよく見ると、前後に蠕動(ぜんどう)運動で波打つ体部と血液を濾過した透明な水滴が体表から出ているのが観察されますが、マダニの様に血液の栄養成分と共に病原体を含んだ唾液を宿主側の人体内に戻すことは出来ないようです。また、カやマダニでは唾液腺という器官(病原体が集まって増殖しているのがよく観察される)がありますが、ヤマビルではまだ未分化の状態で独立した器官にはなっていません。


 

ヤマビルが感染症を運ぶ媒介者(ベクター)にならないのはどうして?

これまでに、ヤマビルに吸血されて、ツツガムシ病、野兎病、ライム病や重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などの感染症にかかった事例は全く報告されていません。ヤマビルが媒介者とならない要因として以下のようなことが考えられます。

(1) 蚊のように口器を直接血管に挿入して吸血することができないので、病原体が取り込まれる機会が少ないこと、また、吸引ポンプがないので、病原体を吸引・移動させることが難しくなるのではないか?

(2) 蚊やマダニでは独立した一対の唾液腺があり、その中で、病原体が感染型にまで成熟・増殖できますが、ヤマビルでは散在的に唾液腺細胞が見られる程度で、独立した器官にまで分化していないので、蚊やマダニの様に病原体が発育・増殖してヒトに感染することは難しい。

(3) マダニでは病原体を含んだ唾液をヒトに戻してしまう習性がありますが、ヤマビルはそのような習性はない。

ヤマビルと感染症


 

お問い合わせ

一般財団法人 環境文化創造研究所内 ヤマビル研究会 (代表:谷 重和)
住所:〒162-0055 東京都新宿区余丁町7-1
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