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いきものヒストリー第3話:温暖化と蚊媒介性感染症

第3話トップ

温暖化で蚊が増える理由とは

蚊の生息域が広がることで、いままで身近に感じなかった怖い病気も近づいてきます。

地球の温暖化によって暑い日が続き、雨がよく降るようになります。また、冬も暖かい日が多くなります。このような現象は、蚊が生息できる場所をどんどん広げていくことになります。

暑く雨が多く冬暖かい

雨量の増加と気温の上昇の影響

雨と暑さの影響

蚊の増加と分布の拡大

卵から成虫までの発育期間が早まり、年間の発生数が1~2世代増える

蚊の成長が早まる

他に越冬時の生存率の増加、発生時期の早期化、生息分布の北上などが考えられます。


蚊が増えることで起こる脅威とは?

マラリアに感染する恐れ

マラリアとは、蚊(ハマダラカ類)に媒介される原虫性疾患のひとつ。世界で感染者3~5億人、死亡者100万人(多くが熱帯熱マラリアで死亡、特に子どもの死亡率が高い)にものぼる。 病原体は赤血球の中に寄生する(マラリアの生活史参照)。 発熱発作(体温が急激に上昇し40℃から41℃になる)の直前に悪寒、震えが生じ、多量の汗をかくが、のちに平熱に戻る。このような熱発作を定期的に繰り返す。 日本ではマラリアは古くから九州、奈良、京都などの地域で「オコリ」の名で 知られており、平清盛はマラリアで死亡している。現在、国内ではマラリアの流行はみられていなかったが、海外で感染する輸入マラリアのみが報告されている。

マラリアの詳細についてはこちら

マラリアを運ぶ蚊

マラリアを媒介する蚊はコガタハマダラカ、シナハマダラカなどです。

体長5~6mm、羽に斑紋があり、成虫は尾の端を高く上げて静止する習性をもつ。 夜間吸血性。 マラリア、日本脳炎などを媒介する。ケニア西部の高地(1500m以上)では、これまでマラリアの流行はみられていなかったが、最近の温暖化の影響でハマダラカの繁殖地域も増え、カの体内でマラリアが発育することが可能となり、いわゆる高地マラリアの流行がみられはじめ問題となっている。

また、特に死亡率の高い熱帯熱マラリアを媒介するコガタハマダラカは現在、国内では九州から北には生息が認められていないが、温暖化が進んで平均気温が2℃上昇すれば九州から西日本一帯にまで生息分布を広げるのではないかと考えられています

蚊が迫る

2008年現在、コガタハマダラカは石垣島に多く生息していることが確認されています。このようなことから、今後これらの蚊の発生状況を監視していくことが必要であると思われます。


デング熱に感染する恐れ

デング熱とは、蚊(ネッタイシマカ、ヒトスジシマカなど)に媒介されるウィルス性疾患のひとつ。 国内でも70年ぶりに2014年、東京の公園で多数の感染者が確認されました。世界での感染者1億人で、そのうち死亡者2万人。感染しても無症状の場合が多い。発症すると、突然の発熱、強い頭痛、眼球後部痛、筋・関節痛などが出現するが、7~10日で自然回復することが多い。しかし、2回目に感染すると重症なデング熱出血熱(高熱、皮下・鼻出血、血小板減少)に移行することが多い。2007年、台湾高雄市で流行がみられ、およそ5800名が感染し、死亡者21名を出した。

デング熱の詳細についてはこちら

デング熱を運ぶ蚊

デング熱を媒介する蚊はヒトスジシマカ、ネッタイシマカなどです。

ヒトスジシマカは体長は5mm、体色は黒。胸部背面に1本の銀白線。後方に逆M字型斑紋あり。空き缶や鉢植えの水受けなど、わずかな水域で生息する。昼間吸血性で昼から夕方にかけてヒトを激しく吸血する。デング熱、ウエストナイル熱などを媒介する。

小林(2005)によれば、この50年間にヒトスジシマカの東北地方への分布域拡大がみられ、将来デング熱流行リスクが高まるとしている。また、ヒトスジシマカはウエストナイル熱にも高い感受性を示すので注意する必要がある。

蚊の生息域

ネッタイシマカは体長3~5mm、体色は褐色。胸部背面に1対の短い黄白線、後方に3個の黄 白斑あり。昼間吸血性でデング熱、黄熱を媒介する。このカは月の平均気温が 16℃以上で生息できるので、温暖化が進めば南西諸島、南九州に分布、定着する可能性がある。


今後、感染が心配されるウエストナイル熱

ウエストナイル熱とは、蚊に媒介されるウィルス性疾患のひとつ。鳥類が固有宿主で、感染した鳥を吸血して蚊が感染し、次に蚊がヒト、馬など様々な動物を吸血することでウィルスが伝播していく。感染者の多くは無症状であるが、発症すると発熱、頭痛、筋肉痛などの症状が1週間程度続く。高齢者では高熱、意識低下などを起こし、急性の熱性脳炎に移行する場合がある。ごく最近、全米で急速に拡大しており、米国での感染者は2005年に3000名(119名死亡)、2006年に4269名(177名死亡)、2007年に3598名(121名死亡)となっている。

ウエストナイル熱を運ぶ蚊

ウエストナイル熱を媒介する蚊はアカイエカなどです。アカイエカは体長5~6mm。胸部は淡褐色。夜間吸血性。日本で最も普通にみられるカ で、幼虫は汚水に多く発生する。日本脳炎、バンクロフト糸状虫を媒介する。 このカは全米あっというまに拡大したウエストナイル熱にも高い感受性を示す こととヒトと鳥類両者への吸血・嗜好性が高く流行リスクの可能性が懸念されている。

アカイエカ

日本では、まだ感染はみられていないが、国内に生息するアカイエカ、ヒトスジシマカはこのウィルスに対する感受性が高く、国内でもウエストナイル熱流行のリスクがあり、主要な国際空港などでは、これら蚊のウィルスへの感染の有無を監視するなどの対策がとられている。

アカイエカなど、その他の蚊についての詳細はこちら


 

地球の温暖化によって新しい脅威が近づいてきます。小さないきものですが、ヒトに与える被害はとても大きく深刻です。環境の変化によって近づいてくるものがあれば、その反対に姿を消していくものたちもいます。次回は環境の変化によって姿を消していくいきものについて掲載します。

消えゆくいきものたち

第1話 地球の絶妙な位置
第2話 地球規模の9項目-温暖化ってどういうこと?
第3話 温暖化と蚊-生息域の拡大で起こること-
第4話 生物の絶滅-かつてないほどのスピードで消えていくー
第5話 クニマス-奇跡の魚と呼ばれて-

 

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